研究概要 |
記憶領域や計算時間といった計算資源を,より多く用いれば,より難しい関数の計算や,より多くの言語の受理が可能になると考えられる.この性質から,関数や言語の集合は,計算資源の量を尺度として,難しさに基づいてクラスに階層分けされることが分かる.本研究では,ゲート数がnの多項式で,段数がlog nの多項式の一様論理回路族で,多項式個の非決定性ゲートを持つ回路族で受理される言語のクラスNNCに着目した.その結果,非決定性一様論理回路族の深さと非決定性ゲート数の関係を利用することで,内部のクラスの包含関係を導出することができた.具体的には,ゲート数がnの多項式,深さがlog nの多項式の任意の非決定性回路族は,非決定性ゲート数を多項式の範囲で増やすことで,深さを0(log n)まで小さくできることを証明した.この成果は,情報処理学会論文誌2011年第4号に公表した.また,計算量クラスの階層構造を解明する方法として,どのような性質をもつ問題が,どのクラスに所属するのかを調査することがある.本研究では,与えられた任意の無向グラフ上に,ある性質を満たす頂点列が存在するか否かの判定問題や,3次元空間内に与えられたある条件を満たす任意の物体が,分解可能か否かの判定が,それぞれNP困難であることを証明した.これらの結果は,学術雑誌Advances in Computer Science and Engineeringと国際会議18th Computing:the Australasian Theory Symposiumにて,それぞれ公表した.
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