研究概要 |
平成20年度は,相互結合網の位相として有望なケイリーグラフ群のうち,主にdual-cubeを対象とした.Dual-cubeは,ハイパーキューブの亜種であり,n次元ハイパーキューブが2^n個のノードを次数nで結合し,直径がnとなるのに対して,(2n+1)次元dual-cubeは,2^<2n+1>個のノードを次数n+1で結合し,直径が2n+2となる.すなわち同じ次元のハイパーキューブに比べて,次数は約半分に抑えつつ,直径は1しか増加しないという利点を持つ.本研究では,このdual-cubeに対して,多重故障ノードの存在を仮定し,これを回避して通信経路を確立する以下のような多項式時間アルゴリズムを提案した. 1. ノードからノード集合への素な経路を求める 2. ノード集合からノード集合への素な経路 アルゴリズム1は,(2n+1)次元dual-cubeにおいて,単一の出発ノードから(n+1)個の目的ノードへ,長さ高々3n+3の,出発ノードを除いて互いに素な(n+1)本の経路をO(n^2log n)時間で求める.一方,アルゴリズム2は,(2n+1)次元dual-cubeにおいて,(n+1)個の出発ノードから(n+1)個の目的ノードヘ,長さ高々3n+3の,出発ノードを除いて互いに素な(n+1)本の経路をO(n^2log n)時間で求める. また,スターグラフの逐次的拡張性を改善するために,任意のノード数から構成可能な不完全なスターグラフを設計し,その経路選択算法を提案した.さらに,提案手法は,従来,Latifiらによって提案されていた構成方法によって得られるグラフと経路選択算法に対して,ほとんどの場合において,より短い経路を構成可能であることを実験により示した.
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