研究概要 |
昨年度から引き続き,モバイルアドホックネットワーク(MANET)での通信状況を考慮したネットワーク構造化手法について研究を行った.昨年度はMANETに対して,スター型のクラスタリング手法に関する成果を得たが,これは主に情報収集・散布に適した構造である.一方,本年度は,クラスタ間での情報共有とノードの移動に伴うネットワーク形状の変化への追従に着目し,以下の点について研究を進め,いくつかの成果を得た. 1. ネットワークをクリーク(完全ネットワーク)に分割し,クリークによるクラスタリングを行う自己安定アルゴリズムの提案. 2. より高度な故障耐性を実現するために,自己安定アルゴリズムの特徴であるアルゴリズムの「合成」について,故障封じ込め自己安定アルゴリズムの多段構成を実現するための手法の提案.これにより,ノードの故障による悪影響をネットワークの一部のみに封じ込めることが可能となる. 3. ノードを自律的に移動させることによるネットワーク形状の変化とノードの能力との関係(可解性)に関する結果を提示.ノードの持つ能力によって,自律的に構成することが可能な形状が限定されている.まず一点集合・収束に関して,その可否とノードの能力の関係をいくつか明らかにした.
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