研究概要 |
遠隔のリアルタイム・コミュニケーションにおけるユーザ間のセマンティックギャップの解消を実現するために,機器の操作方法の遠隔トレーニングを具体的な例題として検討を行った.前年度の成果を踏まえて,以下の項目について要素技術の改良を行った. 1.ドメインオントロジー(概念体系)の表現方法の確立 コンピュータ操作の遠隔トレーニングに関するコンテンツ要素とユーザのスキルとの対応関係を表現するためのメタデータの記述方法として,前年度に開発したRDF (Resource Description Framework)による表現方法を拡張し,ドメインに依存しない汎用的な表現方法を確立した. 2.エージェントによるオントロジーマッピングおよびコンテンツ変換方法 各ユーザのエージェント同士が通信を行い,トレーナーのオントロジーと訓練生のオントロジーとの対応関係(マッピング)を導出するアルゴリズムを確立した.ユーザの知識レベルのみならず,利用環境(使用しているオペレーティングシステムなど)に応じたマッピング方法を開発した.さらに,このマッピングに基づきトレーナーの指示に応じて,訓練生の環境やレベルに応じて適切な形式および内容のコンテンツを生成する方法を明らかにした. また,プロトタイプとして遠隔トレーニング用コミュニケーションシステムを作成した.フリーのインスタントメッセンジャーであるJabberを用い,XMPPプロトコルおよびエージェント通信言語ACLによってエージェント間の通信を実装した.実験により,トレーナーの指示に対して,各訓練生に応じた適切なコンテンツを表示可能であることを確認した.
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