研究概要 |
本研究は,効果的な100万台規模の超大規模並列処理システムの構築を行うため,相互結合網を中心とした有機的かつ自律的な制御基盤の構築を目指している.その目的のために,演算系(ノード内部:プロセッサ)および通信系(相互結合網)の両面から検討および評価を実施した。 まず演算系に関しては,プログラム実行に伴い表出する「規則性」ないし「局所性」をエントロピー概念のもとに定量化する手法をメモリアクセスとキャッシュ性能に適用し,一定の成果を得た.またプログラムの挙動に関し,実行頻度の分布の知見を得るとともに,プロファイル情報を得るための機構の具体的な検討を進めた.その実際的な応用として2パス限定投機システムの開発を進めた。さらに,より高度な並列化を行うために必要なプログラムの分割・並列化技術の検討・評価も進めた。 通信系の研究では,前年度に提案した非最短経路によるルーティング手法をさらに深化させた.また,一般的な相互結合網の評価に関し,グラフの性能曲線による比較を行っていた従来手法から脱するための定量的な手法を新たに提案した.これは,負荷率を連続的に変化させる評価手法と,結合網の性能を定量的に表現する2つの指標からなる.さらに,前年度に機能の拡充と並列化を施したシミュレータを,本補助金により導入した並列計算サーバ上で動作させ,大規模網の初期的なシミュレーション評価結果を得た。これにより結合網のスケール性に関し一定の知見を得た。 これらの成果は,論文誌件,国際会議件,国内研究会件,口頭発表件として公表している。
|