研究概要 |
高速信号伝送時の問題点である信号の位相誤差の補正を目的とした「時間軸情報に着目した位相情報の波形強調・等化」に基づく新しい波形整形技術の考察とシミュレーション,原理実験による評価を行った。実験容易性を考慮し,今年度はプリント基板等の伝送路を対象とした低い周波数(数百MHz)を扱う設計,実験を行った。H20年度に集積化によりGHzオーダの回路設計を検討する予定である。H19年度の主な研究成果は以下の3点にまとめられる。 (1)イコライザ設計のためのシミュレーション環境の構築イコライザ設計のシミュレーションにおいては,伝送路である配線の正確なモデリングが必須となるため,実際のプリント基板(FR4等)の周波数特性を測定し,回路シミュレーション用のプリント基板の伝送路モデルを作成した。実際に測定した波形と作成したモデルを用いたシミュレーション結果との比較を行い,良好なモデリングを確認した。 (2)位相情報に着目したイコライザの設計従来提案されてきた振幅低下を補正するイコライザを精査し,群遅延特性が平坦な特性を有する回路構成を検討した。補正能力,回路規模,補正可能な周波数の上限等の諸特性を回路シミュレーションにより検証し,パッシブタイプのイコライザが有効であること明らかにした。 (3)位相情報に着目したイコライザの原理実験,LSI試作検討伝送路をプリント基板とした場合のイコライザを実際に表面実装チップ部品等の汎用個別素子を用いて実装し,設計した回路の原理実験を行った。その結果,イコライザの位相誤差補正の効果が実証された。さらに,高速化を目的とし,イコライザの集積回路化の検討のための予備試作(0.18umCMOS)を行った。
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