研究概要 |
本研究の目的は,ハードウェア特殊化技術の新たな適用分野を探求すると共に,実用化のための基盤整備を行うことである。特に,(1)制御回路の特殊化,(2)プロセッサアーキテクチャの特殊化,の2点を具体的応用例として検討を進めている。さらに新たな応用も検討して,研究期間の終わりまでに有望な新規分野を開拓したい。 本年度の成果は以下の通りである。研究テーマ(1)については,昨年度までの研究成果を実際の産業用機械に適用し,総合的に実機で検証した。2月までに基本動作の確認が終了したので,本年度内に論文原稿を作成し,論文誌に投稿する予定である。 研究テーマ(2)については,最初の研究成果が英文論文「Diversification of Processors Based on Redudancy in Instruction Set(命令セットの冗長性を利用したプロセッサ多様化)」として掲載された。本論文の概要は以下に示す通りである。 プロセッサアーキテクチャを多様化することにより,ソフトウェアの盗用や解析,実行制御の乗っ取りに対して一定の耐性を持たせることができる。本論文では,特にFPGAを用いた組込みシステムを前提として,プロセッサを多様化する手法について検討する。提案手法では,先行研究で実現されていなかった(真の意味の)命令セットランダム化が実現できる。さらに4つの命令セットの評価結果から,本手法で得られる自由度は先行研究より大きいことがわかった。FPGA上で実際に設計、評価した結果,RAMを利用した実装では特殊化による論理規模の増加は3.5%,性能低下も11.6%に留まることが示された。
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