研究概要 |
高速VLSIの普及に伴い、高速回路で問題となるクロストーク故障に対するテストの重要性が増大している。クロストーク故障は、隣接する信号線間の容量性結合によって起こる故障であり、一方の信号線の信号値変化によってもう一方の信号線の信号値が変化し、その結果信号伝搬遅延が増大するなどの現象が起こる。クロストーク故障をシミュレートするためには、信号波形の計算が必要で、従来は高コストなアナログ波形シミュレーションなどが行われていた。本研究では,クロストーク故障によって誤りが起こる条件を論理値レベルで抽出し、高速な論理シミュレーションを行うことによって、クロストーク故障の検出可能性を計算する手法を提案した。本手法で扱う故障動作は、クロストークパルス、クロストークスピードアップ、クロストークスローダウンの3種類であり、それぞれにおいて誤りが発生する条件を考察した。また、テスト環境としては、ローンチオンシフトとよばれる環境を仮定した。ローンチオンシフトとは、スキャン設計とよばれるテスト容易化を施した回路に対して、連続する2パターンを高速に印加可能とするテスト法であり、高速VLSIのテストにおいて強力なテスト法である。このようなテスト環境をシミュレートするために、1つの回路を複製し結合した回路を作成し、既存のテストツールの利用を可能とした手法の開発をおこなった。その結果、短時間でクロストーク故障のシミュレーションを実行することができた。
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