研究概要 |
今年度はますマルコフ過程に基づくテーダ圧縮法であるPPM符号の検索を高速化する手法について検討した。PPM符号では圧縮の過程で以前出現した文字列を文脈として保存し,文脈ごとの次記号の出現頻度の統計を取ることによって符号化効率を高めている。本提案手法ではその文脈情報を符号化して圧縮データの先頭にヘッダ情報として付加する手法を提案した。これにより,ヘッダ情報の検索のみで本文の圧縮データを伸張することなく高速に検索する手法が実現できた。本研究の成果は現在論文誌に投稿中である。 また,圧縮データの高信頼化手法として,研究代表者らがたに提案したLZ77符号とLZ78符号の両方の特徴を持つ新たな符号に対する高信頼化手法を提案した。本圧縮法では符号語中の各部分の重要度が互いに異なり誤りの生じた場合の影響の大きさも異なる。そこで,重要な部分すなわち誤った場合に影響の大きな部分を取り出して多重化および同期記号を付加する手法を提案した。これにより誤りが生じた場合でも重要部分は正しく復号でき誤りの影響を最小限度にとどめることができる。本手法は学術論文にまとめ,2007年12月にメルボルゾ(オーストラリア)で開催された環太平洋ディペンダブルコンピューティング国際会議(2007Pacific Rim International Symposium on Dependable Computing)にて発表した。論文誌への投稿も準備中である。 さらに,本手法をネットワーク上で円滑に使用するための高信頼化(チェックポイン卜)手法や排他制御手法,およびシステムの信頼性評価手法についても研究を行った。
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