研究概要 |
現在のネットワーク基盤で広く使われている仮想LAN(VLAN)のような技術では,一つの物理的なネットワークインフラストラクチャ上に複数の仮想的なネットワークがソフトウェアにより構成される.しかし,仮想化されているかどうかは上位層からは区別が付かないため,冗長なトラフィックが発生する可能性がある.このような冗長トラフィックは,ネットワーク機器により構成された組織内ネットワークだけでなく,オーバレイネットワークやVPNによる仮想ネットワークでも生じる問題であり,今後のインターネット利用の場面で重要な問題となってくると考えられる.そこで、ネットワーク機器があたかも一つのルータであるかのように相互に協調的に動作して,各仮想ネットワークの中継を適切な所で行う「分散仮想ルーティング」の実現が必要となってくる。 本研究課題では、この「分散仮想ルーティング」を実現し、VLANの利便性とネットワークの効率の確保を両立させることを目指して、トラフィックの中継点(ルーティングポイント)制御技術についての研究を展開した。具体的な成果としては、Ethernetトラフィックのパケットキャプチャから冗長トラフィック発生の検出を可能とし、netflowで獲得したトラフィック中継情報をもとに、冗長トラフィックを削減するようなルーティングポイント制御アルゴリズムを開発した。さらにVRRPを応用したルーティングポイント移送メカニズムを実現し、実際のネットワーク機器の環境に適用することが可能になった。これらの成果を統合することにより、複数レイヤの連携により仮想化されたネットワーク全体の利用効率を高め効率的な通信を実現する通信基盤の基礎技術を確立した.
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