研究課題
インラインネットワーク計測技術を用いたTCP輻輳制御機構において、計測誤差や環境変動がその性能に与える影響について、昨年度に加えてさらなる検討を行った。その結果、遅延時間の計測値を用いる手法よりも、帯域の計測結果を用いる手法は、計測誤差や遅延時間の影響をより大きく受けることが明らかとなった。それらを回避・改善する手法として、従来提案していた、1.計測誤差の大きさに合わせて制御パラメータを動的に設定する手法、および2.データ転送レートに対して常にノイズを載せることによって、定常状態においてもデータ転送レートが振動するようにすることで、突然の環境変動にともなう悪影響を緩和する手法、の性能評価を行い、TCP Symbiosis方式へ適用した場合における、それらの機構の有効性を確認した。さらに、環境変動の例として、無線LAN環境に着目し、そのネットワークの帯域・遅延変動がTCP輻輳制御手法に与える影響を評価し、特にフロー間の公平性が劣化することを指摘し、それに対する改善手法として、従来考えられてこなかった、ACK(確認応答)パケットの廃棄に対して輻輳制御を行う手法を提案し、シミュレーションによりその有効性を明らかにした。さらに複数種類のアクセスポイントやネットワークインフェースカードを用いた実機実験により、提案手法が無線LAN製品のベンダにかかわらず一定の性能を発揮できることを明らかにした。
すべて 2009 その他
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 備考 (1件)
Proceedings of the 2nd International Workshop on the Network of the Future (Future-Network'09)
電子情報通信学会技術研究報告 vol. 109, no. 326
ページ: 33-38
電子情報通信学会技術研究報告 vol. 109, no. 121
ページ: 29-34
http://www.anarg.jp/imtcp/