研究概要 |
一般化直交変調方式を用いて高いセキュリティ機能を有する変調方式を開発することを目的として研究を行い、平成21年度は次の結果を得た。 1 多値のブロック直交変調を識別する方法を開発した。前年度に開発した2値の識別と同様に基底ベクトルの推定を行い、各基底ベクトルに写像される受信信号点の成分について、候補となる多値数と等しい数のクラスタ数となるようにクラスタリングを行う。各クラスタにアンダーソン・ダーリン正規性検定を行い、最も正規性の高い多値数を識別多値数とする。計算機シミュレーションの結果、2,4,8値の多値数候補ではSN比が7dB程度以上であれば、十分に低い識別誤り率が得られることを明らかにした。 2 先に開発した複数信号の識別方法を、2相ディジタル位相変調と16値直交振幅変調に適用して、識別誤り率の計算機シミュレーションによる評価を行った。その結果、2信号にある程度の信号電力比があり、また、SN比が一定以上に高い場合には2信号とも識別が可能であることを示した。また、信号電力比が既知であれば識別誤り率が著しく改善することを確認した。 3 多値直交振幅変調の識別において、受信信号の振幅モーメントと余弦モーメントの両方を用いた場合の識別誤り率の解析的評価を行った。判定変数である2つのモーメントを初等関数の級数展開で表現し、中央極限定理を用いて識別誤り率を導出した。解析結果と計算機シミュレーション結果が良く一致しており、解析が妥当であることがわかった。
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