研究概要 |
一般化直交変調方式を用いて高いセキュリティ機能を有する変調方式を開発することを目的として研究を行い,平成22年度は次の結果を得た. 周波数オフセットが存在する場合に,振幅モーメントと余弦モーメントの両方を用いたシンボルバイシンボル変調の検出可能性と識別可能性について検討を行った.周波数オフセットΔが存在する場合には受信した信号点が2π△の角速度で回転することから,余弦モーメントの値が変化して識別特性が劣化する.これに対処するため,1つの受信点を一定の角度でシフトして複数個に拡大して識別に用いる方法を開発した.本方式は,受信した信号点を回転して拡大するため,周波数オフセットに起因する位相オフセットの影響を受けにくい特徴を有すると共に,変調方式の違いによる余弦モーメントの差を保存している. 周波数オフセット存在下における直交位相変調と直交振幅変調の識別誤り率のシミュレーション結果より,受信信号点の拡大と共に振幅モーメントと余弦モーメントを利用する本方式では,振幅モーメントのみを用いる方法より低い識別誤り率が得られることを明らかにした.また,振幅モーメントならびに余弦モーメントを初等関数の級数展開を用いて表現することにより判定変数を2次元ガウス分布で表し,さらに,これを誤り領域で積分することで識別誤り率の解析式を導出した.
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