研究概要 |
申請者は局所的に分布するさまざまな情報を,特定のインフラに依存せずに局所的に保持する手法として,エージェントを利用した手法を開発し,より場所に密着した情報サービスの提供が可能になると考えている.そのために利用するエージェントをNomadic Agent(NA)と命名した.NAは歩行者などが保持する携帯端末によって構成されたアドホックネットワーク上で,端末間を移動することによってその物理的な位置を変えないエージェントであり,ミドルウェアとして動作する.このNAについて,携帯端末上に実装を行い,これを用いた有用なアプリケーションの開発を行うこと及びその有用性を示すことが本研究の目的である. 本年度は携帯端末上で実際にエージェントを動かした場合の問題点の洗い出しを行うために,携帯端末(PDA)上で動作するNAを開発し,端末間の移動時の特性を評価した.これによってシミュレーションに用いるための基礎的なデータが収集でき,今後,実アプリケーションで利用するための問題点を明確化することが出来た. また,本エージェントの有用なアプリケーションとして,自動車上で動作するNAを用いて交差点において情報を保持するシステムについて検討を行い,コンピュータシミュレーションによって実現性を評価した.現時点では無線通信システムとして用いるデバイスによる影響は大きいが,車で動作するNAについての基本的な評価は行えたと考えている.
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