研究概要 |
本研究は,災害時に被害を軽減するためのセンサネットワークの活用に関する研究,異常な状況の検出のための画像情報処理技術の活用に関する研究,センサネットワークを活用して被害情報を伝送するためのネットワークアーキテクチャの開発を目的とする。2007年度は,災害時を考慮したセンサネットワーク活用に関する検討と,そのセンサネットワークで画像情報とセンサ情報を伝送するために,限られた資源で効率的に情報を伝えるためのルーティングプロトコル及びMAC(Medium Access Control)プロトコルの開発と基礎評価を行った。省電力化とロバスト性を目的とするルーティングプロトコルとして「セレクティブフラディング」を提案し,シミュレーションによる基礎評価から,ネットワーク全体では通信量を50%軽減できることを確認した。しかし,シンクノード周辺に通信が集中する課題について改善が必要である。また,省電力化のためにアクティブ/スリープモードを利用するMACプロトコルのスリープレイテンシについて検討し,それを軽減するためのMACプロトコル「LUD-MAC」の提案を行った。その基礎評価の結果から,伝送時間が最大でκμ+T(κ:ホップ数,μ:1パケットの通信時間,T:スリープ周期)となることを確認し,上下の通信方向においてスリープレイテンシが軽減できる知見を得た。また,画像情報とセンサ情報をセンサネットワークで伝送する場合に予想される課題について検討し,その特性を評価するための実験システムの準備を行った。 2008年度は,上記センサネットワークプロトコルの改良と,画像情報技術とセンサネットワーク技術を融合した情報収集システムアーキテクチャに関する開発を行う予定である。
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