研究概要 |
本研究では,災害時に被害状況を検出するための情報収集ネットワークとして,画像情報とセンサ情報をセンサネットワークによって収集するための研究を行った。 まず,災害時に被害情報を収集ためにセンサネットワークに求められる要件について検討し,画像情報の有効性を確認した。しかし,ネットワーク資源が制約されたセンサネットワークで画像情報とセンサ情報を伝送するためには,通信量を軽減した簡易なルーティングプロトコルと,消費電力と伝送遅延を考慮し,ネットワーク管理に適したMAC(Medium Access Control)プロトコルが必要である。さらに,情報量が多い画像情報と微小なデータサイズのセンサ情報を適切に扱うためのネットワーク管理及び制御について検討が重要であった。 そこで,センサネットワークの通信量を軽減するルーティングプロトコルとして,ホップカウントベースのセレクティブフラッディング方式を提案し,その評価結果から,フラッディング方式に比べて通信量が約50%軽減されることを確認した。しかし,通信が輻輳するシンクノード周辺の通信量の軽減が課題となった。また,画像情報やセンサ情報にように多様な属性を持つデータを扱うセンサネットワークでは,ネットワーク管理と伝送制御の重要性を明らかにした。このため,双方向の伝送遅延を短縮するMACプロトコルとして,LUD-MACプロトコルを提案し,伝送遅延がスリープサイクルに依存せず,効率的なプロトコルであることを確認した。また,画像情報をセンサネットワークで伝送するためのセンサネットワークアーキテクチャを検討し提案したが,今後,制御パラメータの最適化が課題である。
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