研究概要 |
本年度は経歴・オフセット法に関する前年度における成果に基づいて,データキューブのインクリメタルメンテナンスの方式設計とプロトタイプシステムの実装を行い,評価した。最近の期間内にフロントエンドDBに新たに追加されたレコードのみを対象として,既存データキューブとの集約演算を行う.このとき,新たなカラム値を持つレコードに対しては論理拡張可能配列を対応次元方向に拡張する.これにより,事前計算のコストを大幅に削減した。プロトタイプシステムを使用した評価の結果,本提案手法は従来手法に比べて,記憶効率と処理効率の性能が十分高いことを実証した. また,前年度において,経歴・オフセット法に基づくMOLAPデータの差分クラスタリングの方式を提案したが,この方式では,差分構築前の元の多次元配列データを大量に移動する必要性が高く,差分構築のコストを悪化させていた.ここでは,この悪化を軽減し,差分構築のコストをさらに抑制するための方式を提案して,プロトタイプシステムの構築により評価した.その結果,従来方式よりも低コストで差分クラスタリングが可能であることを示した。さらにこの方式で得られた多次元配列からクラスタリングされた固定サイズの多次元配列を効率よく構築する方式を提案して評価した。
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