現在までに照明条件に影響を受けるという欠点を回避するために人の目には感じない近赤外光を照射利用する方法が提案されシステムが作られてきた。しかしながら近赤外では肌色を用いた人物検出ができないため、色を用いるという利点が生かせず膨大な計算時間を必要であった。そこで本研究では、「肌色」の代りに「素材としての肌」を複数の近赤外光を用いて直接抽出するシステムの開発を行っている。 本研究では、セキュリティ性向上のために近赤外発光源IR-LEDと近赤外領域をセンシングするCCDカメラの組み合わせによって人の肌を高速で検出する人感センサの開発を行っている。肌色ではなく肌の素材が異なる近赤外周波数で特徴ある反射特性を示すことに注目することによって、素材としての肌を直接抽出することが可能となる。本研究では、これら研究してきた基礎技術を基にリアルタイムで動くシステムの研究開発を進めている。 ハードウェア的にはシンプルな構成が可能となり、高いセキュリティ性を保ちながら高速な検出システムが実現できる。さらに、開発されたシステムを実際の場面において評価し、個々の適用場面を想定した実験によりその有効性、およびアルゴリズムの改良など、より安定した肌判別手法の確立を目指す。また、最終目標として、本システムの1ボード化を目指す。これにより、更なる利用範囲の拡大を模索し、セキュリティ技術の向上のみならず、ロボットとの共存など人間センシングの応用分野に利用範囲を広げることを目標としている。
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