研究概要 |
特に医療分野において、断層像で構成される種々の3次元画像、およびこれらの時系列による4次元画像も利用可能になりつつある。3次元以上の多次元画像を観察する場合には、直接観察できない対象内部の情報提示を行うことが必要となる。本研究では、このような処理を実現するための一つのアプローチとして、多次元画像全体にわたる画素値分布を、直接観察可能な2次元マップの形で一覧表示する手法の確立を最終的な目標とする.ここでは、多次元画像の各画素がマップ上のいずれかの位置に対応することを2次元マップに求める要件とし、これを満たす条件の下で,利用者が画素分布の特徴を直感的に把握可能な表示の実現を目指す。 平成19年度は研究環境の整備に引き続き、(A)並立する等値面の多次元空間中での相互配置を考慮した2次元マップ表示、(B)ハンドル・Concavity情報の2次元マップへの反映手続き、の2点を重点的な課題としてアルゴリズムの検討を行った。本研究はユーザによる手法の評価が不可欠であり、検証のためのシステム構築が必要であるが、システムの実装は未完であり、これについては平成20年度に完了の予定である。 本研究は等値面構造の記述と密接な関係にあることから、実データへの応用課題として、ヒト胚子標本MRM(核磁気共鳴顕微鏡)3次元画像群から等値面で囲まれる標本領域を自動抽出し、像内の標本姿勢を推定する手続きについて提案を行った。今後の研究の進展により、本画像群から新たな知見が得られることを期待するものである。
|