研究概要 |
特に医療分野において、断層像で構成される種々の3次元画像、およびこれらの時系列による4次元画像も利用可能になりつつある。3次元以上の多次元画像を観察する場合には、直接観察できない対象内部の情報提示を行うことが必要となる。本研究では、このような処理を実現するための一つのアプローチとして、多次元画像全体にわたる画素値分布を、直接観察可能な2次元マップの形で一覧表示する手法の確立を最終的な目標とする.ここでは、多次元画像の各画素がマップ上のいずれかの位置に対応することを2次元マップに求める要件とし、これを満たす条件の下で,利用者が画素分布の特徴を直感的に把握可能な表示の実現を目指す。 平成20年度は、多次元画像の等値面構造を記述するRegion-based Contour Treeに基づき、等値面の多次元空間中での相互配置を考慮した2次元マップ表示手法(Contour Structure Map)を提案した。最終年度である平成21年度は、画像等値面の幾何的特性の一つとして、等値面構造を大幅に変動させる微小な穴領域に着目し、穴領域の抽出と可視化の手続きを提案した。本手法は原画像とclosingにより得られた処理画像との差分から求まる連結領域群より、Region-based Contour Treeを用いた等値面構造解析によって穴領域を抽出し、これをContour Structure Map上に表示するものである。ここで行った手続きは、原画像と処理画像の2種の画像を組み合わせたベクトル画像の処理と考えることが出来る。
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