平成19年度は、主にシステムの基本構造の設計、資料収集、データ整理に重点を置き研究を進めた。具体的には次に示す基本構造を設計した。本研究では、刑事事件について新聞記事より情報収集・整理することを行う。これに対し、刑事事件の記事を判定するためのキーワードを刑法および刑事訴訟法から収集し、さらにそれらの記事を特徴付ける語句を従来の情報検索手法に基づき収集した。これらを用いて、対象となる新聞記事を特定する。さらに同一事件の新聞記事を収集し、編集、再構築を本研究では行う。これに対し、単に時系列で並べるのではなく、刑事事件における事件発生から訴訟までの流れに基づき、新聞記事を並べる方法について、基本となる枠組みを検討した。本枠組みにおいては、刑事事件の各過程におけるキーワードと記事の時間とを比較することで、記事を並べていく。また刑事事件のフレームを用意し、それらを埋めていくことで、事件の全体像、および情報の整理を図る。またこれらを進める上で自然言語解析が不可欠であるが、既存の文法では、十分ではないと判断し、三上文法や助詞に着目する文法に基づく解析手法について、その基本アルゴリズムを検討した。照応解析として、従来の代名詞のみならず、右左同などの部分にも着目することを検討した。また英語記事との対訳の利用の可能性についても検討した。
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