研究概要 |
1.数値的方法による構造データの検索 本手法の基盤となるInterlace定理を利用する上で必要となるのは固有値の正確な値ではなく,二つの行列の固有値の値の大小関係だけである.代表的な固有値計算法である二分法にもとづき,二つの行列の固有値を並列に計算しInterlace定理を利用する上で必要となる精度がえられた時点で計算を打ち切ることにより処理を効率化するアルゴリズムを開発した.また,二つのグラフの頂点と枝に付けられたラベルを利用して行列のサイズを縮小する手法を開発した.これにより計算コストを削減するとともに,Interlace定理を用いたグラフフィルタリングの性能を向上させることができた. 2.組み合わせ的方法による構造データ検索 これまでの研究において入力が連結グラフの場合についてMessmerらのグラフ分解を利用した部分グラフ同型性判定アルゴリズムを効率化する手法を開発した.本年度は入力が非連結グラフの場合も処理できるよう提案手法を拡張し,高速な部分グラフ同型性判定アルゴリズムとして知られるVF2との比較において有用性を確認した. 3.特徴間の類似性を考慮した新たな類似検索技術の開発 L. Lathauwerら(2000)によって提案されたHOSVD(Higher-Order Singular Value Decomposition)を応用した類似画像検索手法を開発した.評価実験を行い,効果的な特徴選択方法の検討や計算量の削減など今後の課題を明らかにした.
|