本研究では、日々絶え間なく提供されている放送映像から、概念を表すキーワードとその概念を説明するような映像の対("映像知識"と呼ぶ)を自動的に獲得する手法、及び映像コンテンツ解析への応用について検討を行うことを目的とする。 最終年度である平成21年度は、平成20年度に引き続き、これまでに収集した放送映像データのうち、ニュース番組など、特定の番組の長期に渡るデータに対し、文字情報に基づき言及された単語や話題の解析、映像情報に基づき登場するオブジェクトや動きの解析を行い、これらの共起性、継続性などの関係性を評価することで、概念と画像領域/映像区間の対応関係の抽出を試みた。評価においては、文字は単語列、映像は映像特徴を置き換えた記号列で表現し、これらの相関から関連構造を抽出した。また、昨年度試作した放送番組の連想検索システム「番組マップ」を拡張し、概念から対応する画像領域/映像区間の検索を行えるのをはじめ、画像領域/映像区間同士の検索をも可能とした。これにより、利用者は放送映像空間を探索し、概念と概念を説明するような映像の対の候補を発見することができる。 映像知識として適する最適な映像区間の決定手法、及び体系化手法について十分な考察を行うことができず、目標としていた映像事例集、さらにはこれらを体系的に整理した映像百科事典の構築までには至らなかったが、体系化の戦略を組み込み、構築したシステムを更に発展させることで、これらは実現できるものと考えている。.
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