研究概要 |
本年度は,社会・文化的特徴と非言語行動との関係をモデル化し,文化的に適切な会話エージェントの非言語行動,特に姿勢を決定する方式の開発に取り組んだ。まず,社会・文化的特徴を記述する方法として,5次元の特徴値により各国の社会・文化的特徴を記述するHofstede理論を採用し,非言語行動の特徴パラメータとして,空間的広がり,姿勢の硬さ,頻度等5つのパラメータを定義した.次に,被験者による評定の収集や,ビデオデータの分析により,ドイツと日本における非言語行動特徴パラメータ値を設定した.本研究では,特に会話中の姿勢に着目し,姿勢の空間的広がり,姿勢変化の頻度等をパラメータとして定義した.次に,社会・文化的特徴と非言語パラメータとを統合したベイジアンネットワークを構築し,国を特定するとその文化に適切な姿勢の特徴値を予測するモデルを確立した.さらに,本モデルをキャラクタの姿勢アニメーション決定機構に組み込み,国名を入力すると適切な姿勢候補を出力する機構を実装した.また,本研究で提案されたモデルは日独のみならず他の国についても適切な予測ができることを報告している. 本研究はドイツのアウグスブルグ大学との共同研究で進めており,本年度は,文化的背景を考慮したユーザインタフェースに関する特集号を国際雑誌AI&Societyにて企画し,ほぼ査読を完了した.
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