研究概要 |
本研究の最終到達目標は,不特定な人間に対してリアルタイムでの習熟状況の判断,学習レベルの認識を用いた可変支援システムであるが,この3カ年での到達目標は,事前に収集した特定人数の個人習熟状況データを参照しリアルタイムにマッチングを行い,支援手法を決定・実施するシステムである. H20年度では,前年度の基礎検討で不足していた実際の時々刻々と変化する環境下での人間の行動分類について,既存の実路走行データを用いて詳細解析をすることで,基礎行動データベースの分類手法についてその精度を向上させることを試みた.その結果,同一の運転者が同一コースを走行する場合,顕著に行動パターンが状況を大別した数パターンに固定されることが見受けられた.今回は外部環境要因の変化として,特に駐車車両や対向車という対象物に対して時系列データを解析した,その結果,時々刻々の対象物に対する到達予定時間の変化がその対象物への運転者の注目度を示すファクタになり得る可能性を見いだした. これらの結果は,各個人により絶対的な値は異なるが,データのばらつき具合は,被験者群ごとに傾向を有することも得られ,データベースの分類手法を進める上での知見を得た.特に,ベテランと一般運転者の操作のばらつきの違いは,今後の学習レベルの認識をする上で重要な差異であると考える. また,3年度目に当たる次年度へ向けての実際の行動と人間の嗜好や感受性との関連を見るための被験者群の拡大調査についても本年度の結果を基に実験計画を立案し準備を進めた.
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