研究概要 |
H21年度では,3年目の最終年度として前年度に引き続き実際の時々刻々と変化する環境下での人間の行動分類について,既存の実路走行データを用いて詳細解析をすることで,基礎行動データベースの分類手法についてその精度を向上させることを試みた.その結果,より詳細なパターン分類を進めることができた.また,運転嗜好ならびに感受性に関する調査を海外データについても解析を試みることにより,国民性や国別交通環境が差異を表す項目について試算した.トライアルとしてサンプル数は少なかったが,この結果は,現在のグローバルに展開する自動車などに対して統一した可変支援システムを構築する際の人間の習熟や学習レベルの基礎データとして用いることができる. また,環境変化により,どの程度人間の操作にばらつきが出るかを把握する目的で,個人内在の操作むらならびに個人間の差異の統計的分布に着目した.ここでは,特に行動パターンの差異が出やすい交差点接近時について特定地点におけるパターン分類を試みた.その結果,距離と速度により構成される頻度マトリックスにより特定地点の交通行動パターン頻度を表現できる可能性を見いだした.この頻度マトリックスは,運転支援に利用されるTTCならびにTHWというデータを容易に算出できる構成であるとともに,従来の固定地点観測ビデオデータに接続することで,リアルタイムにデータを蓄積できることが想定される.データマトリックスとしての分解能のチューニングには今後のさらなる解析が必要となるが,支援システムへの利用を前提としての軽量かつ簡素な構造を持つことは本研究での研究成果と考える.
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