研究概要 |
教室内でプログラミングを活用し,協調的な創作を通じた学習環境を提供するために,教室内の各端末間で共有されるオブジェクトの管理モデルの検討と,それを利用した学習ツールの構築を行った。構築したモデルは,以下のとおりである。まず,プログラミング可能なオブジェクトを配置する仮想的な空間として,各個人が自分の創作物に取り組むための個人空間と,創作物を共有するための共有空間が提供される。また,自分の個人空間と共有空間の間は,学習者が用いる各端末の画面上の窓を通じて自由に行き来できる。さらに,他の学習者の個入空間を閲覧したい場合には,画面上に表示された空間移動ボタンにより移動することができる。これにより,教室内で学習者が協力して共有空間上に創作物を構築する学習活動を行うことができる。 このようなモデルに基づく学習環境を,3次元P2P空間共有環境であるCroquetと,Javaによるユーザインタフェースを用いて構築した。また,小学校3年生4クラス120名を対象とした実際の授業に適用し,学習意欲の向上に対する評価を実施した。授業の実施に当たっては,小学校教員の協力も得て,授業の進め方などの設計を行った。結果として,当初の研究目的であった,コンピュータを活用した学習活動に,学習者相互のアイディアを交換し,学習意欲を高めることができるということを,児童に対して行った授業後のアンケート調査により確認することができた。 さらに,教室内で子ども達が協調的に学習.している様子を指導者が把握できるように,創作しているオブジェクトの共有状況を把握できるツールを試作した。これにより,教室内で起こっている事象の把握が容易になり,授業の円滑な運営に寄与できることが分かった。
|