研究概要 |
教室内で児童たちがお互いに対話を行いながらプログラミングを行うことにより,論理的思考力や問題解決能力の向上を図るための協調創作学習環境の構築について,この環境を構築するための特有の問題であるオブジェクトの複製管理方式の確立と,それに基づく3次元図形協同創作ツール,および,そのプログラミング環境のプロトタイプ構築を実施した。オブジェクトの複製管理方式については,メソッド呼び出しをJava言語のリフレクション機能を用いてマルチキャストにより他ノードへ伝播し,オブジェクトの振る舞いを同期させる仕組みを実現した。構築した3次元図形協同創作ツールでは,教室内で複数の児童が自分のパソコンを用いて,共同で積み木を組むように3次元図形を作成することができ,また,その図形に簡単なマウス操作によりプログラムを組み込んで動かすことができる。 このツールを実際の教育現場に適用するのに先立って,大学生に試用してもらい事前評価を行った。その結果,従来の個別でしか創作活動ができないツールよりも3倍から20倍ほどのコミュニケーション促進効果があることが分かった。また,操作インタフェースに関して,実際に適用する上での改良点などを明らかにすることができた。 さらに,児童たちがお互いに学習の進度を把握し,それをもとに自分の創造的な活動をより促進させることを目的とした相互評価学習システムを構築し,立命館小学校における3年生および4年生向けの授業に適用した。その結果,プログラミングを活用した学習活動への動機付けが高まり,教室内でのコミュニケーションがより促進されることが分かった。
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