研究概要 |
初等教育でのコンピュータを活用した授業において,従来から行われている「調べ学習」等のリテラシ教育ではなく,子どもたちが教室内でプログラミングを通して共同で作品作りを行うことで,創造性や論理的思考力,問題解決能力の育成を図ることを目的とした協調創作環境の構築を行った。今年度は,前年度までに開発したプロトタイプシステムの改良として,子どもたちにも分かりやすいようにユーザインタフェースの改良を行った。これを用いて,実際に地域の公民館において子どもたちを対象にした検証ワークショップを実施し,本研究の特徴である協調創作機能が子どもたちの作品作りを非常に活発化することが確認された。 本環境を実現するには,複数のコンピュータの間でデータや操作の共有が必要となるが,今年度はユーザがグループを構成し,グループ内でのオブジェクトの共有や,グループ間でオブジェクトを移動するなどの機能を実現した。これにより,様々な授業形態に応じて柔軟なシステム構成を採ることが可能となった。また,将来的にはパソコンだけでなく,携帯端末等が混在した環境でも動作可能となるように,異種端末が混在して協調創作に途中参加できるようにするオブジェクト複製方式や,端末間の性能差を吸収可能な操作の伝播方式について検討し,プロトタイプシステムの実現と評価を実施した。 これらの成果により,本協調創作学習環境は実際の教育現場で十分に利用できるだけの完成度に至り,今後,NPO法人主催の休日ワークショップや立命館小学校での正課授業に適用を進めていくこととなった。
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