本研究では、帰納学習・発見の対象として、パターン言語およびパターン言語の組を取り扱う。パターンとは、定数記号と変数からなる文字列である。例えば、a、bを定数記号、x、yを変数とすると、π=abxyやτ=axbxはパターンである。パターンπが表す言語L(π)は、πの変数に定数記号列を代入して得られる文字列全体である。たとえば、 L(π)={abwv | w、vは、a、bからなる文字列}、 L(τ)={awbw | wは、a、bからなる文字列}のようになる、複数パターンの組II=(π1、π2…、πn)で、パターン言語の和L(II) =L(π1)U L(π2)U...U L(πn)を表す。 これらの対象について、本年度は、つぎの事項について研究を行った。 (i)正例からの学習可能性 パターンの形や組を構成するパターン数に何らかの制約を設けないと正例からの学習は可能とならないことが知られている。そうした制約を明らかにするとともに、別の種類の制約を探索した。組を構成するパターン数については、多くの場合、上限を設けなくてはならない。しかし、パターン中の連続する定数記号の最大長に上限を設ければ、パターン数は任意有限個まで拡張することができる。 (ii)効率的学習可能性 パターンの組の学習アルゴリズムとしては、極小多重汎化(MMG)を基本として、高速化を考察した。また、パターン数の上限がない場合について、アルゴリズムの見直しを行った。
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