本研究は、量的・質的記述の混在を許した多次元データ(シンボリック・データとよぶ)に内在する、単調な構造や、部分的に単調な高次の共変的な関係を検出するための、一般的な仕組みの開発を目的としている.平成20年度の成果は以下の通りである. 1.「区分的に単調な、一般的な鎖状構造の検出法の実現」 多次元データに内在する非線形の関数構造や、より一般的な幾何学的に薄い構造を評価するシステムを、報告者等の用いているカルテシアン・システム・モデルとよぶ数学モデル上で開発した。各種の人工データや実データに適用して、その有用性が確かめられた。研究成果は、雑誌Pattern Recognition Lettersに投稿し採録予定となっている. 2.「高次の共変関係壱評価可能とする、一般化相関係数の開発」 ピアソンの積率相関係数を与えられたデータに居所的に適用し、その結果を総合することで、全体の共変関係を評価する仕組みを提案した。研究成果は、論文誌に投稿中である。 3.「入れ子構造による単調性の特性化と、そのシンボリック・データ解析への応用」 シンボリック・データ解析では、巨大なデータを扱う場合に、ヒストグラムによる表現が頻繁に現れる。ヒストグラムは、累積分布関数を媒介することで、m分位数に要約可能であり、その結果が入れ子構造、すなわち単調性を保証する。この性質を利用して、ヒストグラムを値とする多次元データの主成分分析法を提案した(IASC2008で発表).
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