研究概要 |
本研究は,量的・質的記述の混在を許した多次元データ(シンボリック・データとよぶ)に内在する,単調な構造や,部分的に単調な高次の共変的な関係を検出するための,一般的な仕組みの開発を目的としている.平成21年度の成果として 1.「区分的に単調な、一般的な鎖状構造の検出法の実現」 このテーマにおいては,多次元空間において,オブジェクト群が鎖状(ロープ状)に連なる構造を想定したとき,その形状が全体的に単調な構造ばかりでなく,局所的に単調であれば,高次多項式や正弦波のような構造をしていても,検出可能とする方法である. 2.「高次の共変関係を評価可能とする、一般化相関係数の開発」 このテーマでは,良く知られた相関係数を,与えられた各データサンプルの局所領域に適用し,累積することで,高次の共変関係検出を可能とする方法の開発である. 以上のテーマに関しては,雑誌論文として掲載された.さらに 3.「入れ子構造による単調性の特性化と,そのシンボリック・データ解析への応用」のテーマにおいて,膨大なデータの要約にヒストグラムが良く用いられるが,ヒストグラムを値とする多次元データの主成分分析法を,m分位数による方法として,IASC2008において発表し,その後雑誌論文として,投稿中である.また,分位数法は,単に主成分分析法の範囲に留まらず,シンボリック・データのより広範囲の分析に適用可能であることが分かってきた.今後,分位数に基づく,シンボリック・クラスタリング,シンボリック重回帰分析法,シンボリック判別分析法,さらに欠損値に対する,新たな補償方法などを検討する予定である.
|