研究課題/領域番号 |
19500138
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
菅原 俊治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70396133)
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研究分担者 |
福田 健介 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 准教授 (90435503)
廣津 登志夫 豊橋技術科学大学, 工学部, 准教授 (10378268)
栗原 聡 大阪大学, 産業科学研究所, 准教授 (30397658)
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キーワード | マルチエージェントシステム / 交渉プロトコル / タスク割当て / 負荷分散 / 自律エージェント / コントラクトネットプロトコル |
研究概要 |
本研究では、大規模なマルチエージェントシステムに向けて、スケーラビリティを考慮した交渉プロトコル(ネゴシエーションプロトコル)を提案することを目的としている。特に、10000以上のエージェントが相互に干渉する可能性のある環境で、全体として効率的な結果をもたらす交渉プロトコルとそのための戦略を解明する。特にコントラクトネットプロトコル(CNP)に着目し、大規模で相互に影響し合うような環境でCNPを使用したときのシステム全体の効率性、入札値を約束した処理時間としたときの信頼性について調査してきた。 本研究期間では、特にタスクの広報範囲に関するポリシー、落札者選択のポリシーというマネージャー側の制御により、全体の効率が如何に変わるかをシミュレーションにより調べた。この結果、2つの重要な知見が得られた。第一に、広報範囲を狭めると能力の高いコントラクタに通知が行かない可能性はあるが、むしろシステムが大規模で有る程度の負荷があるときには、能力の高いコントラクタに落札することは処理の集中化を招き、効率を落とすこととなる。第二に、広報範囲を絞っても、常に最良のコントラクタを落札者として選択することは、効率の低下を招き、全体だけでなく、個々のマネージャーにとっても悪影響をあたえる。むしろ、ときどき最良でないコントラクタを選択することにより、効率、入札値の信頼度の両方同時に向上できることを確認した。これはエージェントが常に合理的な選択をしていると、その多くが同じ判断を下すこととなり、しかも同じ判断を下していることは他のエージェントからはわからない。その結果、必ずしも良い結果を生まないと言える。
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