研究概要 |
前年度に構築した像分離システムより得られている課題である (1) カメラの露光時間を延長した撮影画像を用いる像分離手法の像分離精度の向上 (2) 応用アプリケーションに向けたインタフェースの構築 (3) 像分離を応用したアプリケーションの試作 の3点について取り組んだ. 問題(1)について,従来の手法では投影色区間の途中までの露光による投影色による成分の減衰は区間に対する露光時間の割合によって表されると仮定していた.投影色による成分の減衰は露光時間に必ずしも比例しないため,減衰した成分を新たな未知項として推定を行うように像分離手法を変更した.またカメラによる撮影画像の数式モデル化を行い像分離手法の一般化を行うことにより,撮影画像について行列を用いた連立方程式として表すことができることを示した.連立方程式の解を求めることにより投影像と背景像の推定が可能である. 次に問題(2)について,像分離システムからの出力として得られる同時刻の投影画像,背景画像をVGA出力に対し同時に出力できるよう改良した.したがってVGA出力をキャプチャすることによりPC側のアプリケーションで像分離結果の利用が可能となった.また,USBをインタフェースとしたPCと像分離システム間の通信部の実装を行い,5〜6[fps]での投影画像,背景画像のPCへの送信が可能となった.上記の手法の変更と出力の変更を像分離システムに対して行い,像分離精度が改善していること,像分離演算をリアルタイムに処理しVGA出力できていることを確認した. さらに問題(3)について,像分離により得られる画像を用いた際に改善が見込まれるアプリケーションについての検討を行った.検討の結果,背景画像に含まれる物体の追跡において像分離により投影像の除去が可能であるため良好な結果が得られるという知見が得られた.
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