研究概要 |
像分離システムを有効利用するシステムの一つとして像分離の特性を活かした物体の形状・色情報取得方法を提案し,それに対するアプリケーションの実装を行った.背景として,動物体の形状と色情報の同時計測には高速な形状取得と同時刻のテクスチャが必要となる.投影パターンを用いての一般的な形状計測ではテクスチャの同時計測は困難である.また,形状測定とテクスチャの視点が違う場合は位置あわせをする必要がある.そこで,投影画像と推定背景画像を同時に取得できる像分離システムの特性を活かした,パターン投影方式での物体の形状・色情報の取得方法を提案した.利用場面として,モーションキャプチャや三次元モデリング,物体認識などが挙げられる. 本研究では縞パターンを投影し,観察点の隣接色から投影上の位置を判断して光切断法により物体の形状を計測している.少ない隣接色で投影位置が特定できる縞パターンの検討を行い,任意の隣接3色から投影パターン上の位置が一意に特定可能な縞パターンを作成した.物体部分の色情報は像分離で得られた投影部分を除いた画像から,形状計測で計測できた点の範囲をテクスチャとして切り出すことで得た. 実装では処理の並列化を行い,NVIDIA社のGPGPU技術を備えたCUDAを用いて形状計測処理の高速化を行った.処理速度,計測精度についての実験・評価を行い,処理速度は像分離速度以上を達成し,計測精度は投影した縞幅に対して誤差の範囲であり妥当であることを検証した.検証の結果、形状検出時に異なった計測点の座標が計測される場合や,投影物体の表面が鏡面または色の反射率が低い時に形状検出ができない等の課題が明らかになり, その原因について検討を行った.
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