研究概要 |
本研究の目的は路車間協調による交通安全支援である.我々は交通事故が多発する交差点に進入する自動車に対して交差点周辺に設置する複数のインフラカメラ映像を自動車に送信し,自動車側で受信した多視点映像を自車の位置・進行方向に基づいて再構築する.すなわち,多視点映像から自車に追従した俯瞰映像を生成し,運転者に提示することにより交通事故の回避を目指すものである. まず,運転者に提示する映像の生成について,我々は安全運転支援のため運転者の視界と認知性を向上させる観点より,自車追従する交差点鳥瞰映像が有効と考え,自車の位置・進行方向に基づいた鳥瞰仮想視点映像を,自車の位置に最も近い2つのインフラカメラ映像から,モーフィング技術により生成する手法を開発した.交差点模型を用いたシミュレーション環境での実験により,よい結果を得られた.また,この鳥瞰仮想視点映像を作成する際に,SIFT Detector及びHarris Corner Detectorという先端的で高速・高精度な特徴点対応技術を複数用いることにより,特徴点対応の自動化及びリアルタイム生成の目途をつけることができた. 次に,広範囲の路車間の高速且つ高品質なインフラカメラ映像を実時間に受け取るため,マルチメディア通信に適している無線メッシュネットワーク技術を用いた.本研究においては,実験室環境で無線メッシュネットワークを構築し,映像の送受信実験を行った.試行錯誤により得た知見は,今後,実交差点における無線メッシュネットワークの構築に活用していく. このように本研究の目的たる路車間協調による交通安全支援のための映像の生成・無線送受信の基礎技術が開発され,よい成果が得られた.両機能の連携および交通状況の解析は,今後の課題である.
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