研究概要 |
パターン認識アルゴリズムをディジタル回路による専用ハードウェア実装に適するように改良を行った.そして,動きを伴わない静止画で表される41種類の指文字を認識させるテストを行った.その結果,平均90%以上の認識率が得られることを確認し,改良したアルゴリズムの有効性を明らかにした.さらに,改良したアルゴリズムを直接実行するディジタル回路の設計を行い,現在は,ビデオカメラから直接画像を取り込むためのインタフェースの開発を行っている.設計した回路をプログラム可能な論理素子であるフィールド・プログラマブル・ゲートアレイ(FPGA)に実装することで,ハードウェア・パターン認識エンジンとなる.アルゴリズムをハードウェアとして実装することで,無駄の無い専用回路と回路処理の並列性により,従来のソフトウェアによるパターン認識に比べ,非常に高速な認識が可能となる.実際,設計した回路に対してシミュレーションによる動作検証を行い,ピクセル単位で処理ができるためビデオ画像の静止画像1枚単位で認識ができることを確かめた.また,この手法では大規模なコンピュータを使う必要が無いため,小型で省電力なシステムとすることができる.本研究では,このハードウェア・パターン認識エンジンを用いて,動きを認識するジェスチャ認識システムへと応用を広げる予定である.ジェスチャ認識では動画を認識することになるが,動画は連続する静止画の集合として扱われる.ジェスチャ認識では,各静止画を認識し,その連続する認識結果から動きの認識を行うことになるが,静止画認識に上記パターン認識エンジンを用いることでジェスチャ認識システムを構築する.リアルタイム認識が可能なパターン認識エンジンを使うことでスムースなジェスチャ認識が可能となる.
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