研究概要 |
本研究では,手の形を画像として取り込み入力された手の形を分類するハードウェア指文字認識システムを目指しているが,まず回路簡略化のためにアルゴリズムの改良を行った.アルゴリズムの改良とシミュレーションによる認識率のチェックを繰り返し,認識率とハードウェア化の容易さの点からアルゴリズムの最適化を行った.その後,ハードウェア記述言語であるVHDLによる回路設計を行い,機能シミュレーションによる動作確認までを行った.そして,このハードウェア設計に並行して次の3種類のシステムの拡張を行った.まず,指の動きにより事象を表現するジェスチャ認識を行うための基礎実験を行った.指文字認識システムにジェスチャ画像を入力すると,形が異なる指文字集合が時系列として得られるが,この時系列集合を一つのジェスチャとして捉えるための認識方法についての検討を行った.ジェスチャ認識には,時系列変化パターンを分類・認識できるJORDANニューラルネットワークを用いた.指文字認識システムの出力をこのネットワークに入力したものとしてシミュレーションを行い,ジェスチャに対して良好な認識が可能であることがわかった.2番目は,自己組織化マップとHebb学習機能を持つニューラルネットワークを組み合わせたハイブリッドネットワークを指文字の認識部としての利用について検討を行った.その結果,従来の認識手法より高性能な認識が可能であることを確認した.この方法では,高い認識性能が得られるほかに,自己学習機能を持つ,さらにフィードバックをかけることでジェスチャ認識が可能であるという特徴をもつ.そして,3番目の拡張は,画像の大きさの違いによる認識率の悪化を防ぐために画像の正規化手法を提案し,これにより大きさの変化に頑健な認識ができることを確認した.
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