本年度は、動画像からの人物の行動の画像処理による認識法について、以下のような検討を行った。 (1)人物全身像の姿勢推定 人体パーツ毎に色分けされた衣服を着用し、色彩画像処理により、各人体パーツを画像から抽出する方法について検討した。具体的には、色分け衣服を着用した人物の実写画像に対して、mean-shift法による領域分割法を施すことにより、各人体パーツに対応する領域が得られることを確認した。複雑な姿勢についても正確に領域分割結果が得られる見通しが得られた。さらに、領域として得られた人体パーツの形状解析により、手先や肘などの特徴点を検出できる見通しを得た。 (2)未知人物の行動認識 行動認識処理用のデータベースに含まれない(未知)人物の行動を動画像から認識する方法を検討した。データベースとして人物、行動、時系列画像特徴データの3つの次元をもつテンソルを予め構築しておき、テンソル分解を利用して、未知人物の行動を認識する。実写動画像を対象に行動認識実験を行い、本手法の有効性の見通しを得た。併せて、認識のために有効な画像特徴を検討した。 (3)移動カメラ画像からの人物の動き認識 移動ロボット等に搭載されたカメラにより獲得される動画像から、人物の手振りを認識する方法を検討した。カメラの動きに対処するため、肌色領域(顔と手)を抽出し、これに基づく人物追従型局所座標系を各フレームにおいて構築する。これにより手振りの軌跡が安定に検出できることが確認できた。さらに、Condensation algorithmを用いて、手振りの認識が行えることを、35種類の手話動作を対象に明らかにした。
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