本年度は、動画像からの人物の行動の画像処理による認識法について、以下のような検討を行った。 (1)人物全身像の姿勢推定 人体パーツ毎に色分けされた衣服を着用した人物を複数台のカメラにより撮像することにより獲得される画像を解析し、人物の姿勢を3次元推定する方法を検討した。具体的には、色分け衣服を着用した人物の実写画像に対して、mean-shift法による領域分割法を施し、各人体パーツに対応する領域を得る。各領域の形状解析に基づき、関節に対応する点や、手先・足先などに対応する点などを、特徴点として検出する。人体パーツが別の人体パーツの背後に隠れているか否かの判定は、画像中の人体パーツの面積などを用いて行う。2台以上のカメラ画像中で検出される特徴点については、三角測量の原理により3次元座標を計算する。 4台のカメラを用いた姿勢推定実験を行った。2台以上のカメラ画像中で検出される特徴点については正確に3次元復元が行えることが確認された。特徴点が他の人体パーツに隠されるような場合にも、正確にその旨を出力できることがわかった。 (2)未知人物の行動認識 行動認識処理用のデータベースに含まれない(未知)人物の行動を動画像から認識する方法の検討を進めた。データベースとして人物、行動、時系列画像特徴データの3つの次元をもつテンソルを予め構築しておき、テンソル分解を利用する提案手法により、未知人物の行動を認識する。 本提案手法の有効性を検証するため、主成分分析を用いる方法、最近傍決定法との比較実験を、歩行動作やスキップなどの7種類の動作を対象に行った。さらに、前述の時系列画像特徴として有効なものを見出すため、輪郭形状特徴、メッシュ特徴、投影特徴を使用して比較した。その結果、本提案手法において輪郭形状特徴を用いる場合が最も高い認識精度を与えることが明らかになった。
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