研究概要 |
オープンMR装置における肝臓の位置合わせに焦点を絞り,平行移動や回転などを計算する大域変換と,Bスプライン関数に基づくFFD(Free Form deformation)による変形を計算する局所変換の二つからなる非剛体3次元ボリューム画像位置あわせ法を開発した.H19年度の研究において,ファントムや臨床データを用いた実験において,1.5mmの精度で位置合わせがきることが確認されたが,処理に20分ほど時間がかかっていた.また,前処理として肝臓を手動で切り出さなければいけなかった.H20年度において処理時間の短縮,肝臓の分割の自動化を目指した.特に以下の成果が得られえた. 1.計算時間を短縮するため,変形を考慮した位置合わせアルゴリズムの並列化を行い,4コアのコンピュータを用いた実験において,計算時間は約1/4に短縮することができた. 2.これまで前処理としてオープンMR画像やCT画像から肝臓を手動で分割する必要がある.労力がかかるだけではなく,処理時間もかかっていた.本年度は,グラフカットとlevel setを組み合わせて,肝臓の半自動分割法を開発した.従来の肝臓の塗りつぶし分割法に比べて,グラフカットにおいて肝臓の大体の領域をマークするだけで分割することが可能である.さらに,その結果に対してLevel setを用いた手法を適用させ,高精度な肝臓分割ができた.本手法で分割した肝臓の位置合わせ精度と手動で分割した肝臓の位置合わせ精度はほぼ同じであることも確認することができた. 3.従来の最適化手法に勾配情報を用いた手法が用いられてきたが,局所解に陥りやすいという欠点があった.本年度は新しい最適化手法として,粒子群最適化法(PSO:Particle Swarm Optimization)を用いた手法を提案し,その有効性を示した.特に独自で開発したHybrid Particle Swarm Optimizationが医用画像の位置合わせに有効であることを示した.
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