本研究課題では、集団による最適化手法であるParticle Swarm Optimization(PSO)等の最適化手法に関する研究成果を取り入れて、最適なパターン認識器を自動的に構成するための実用的なアルゴリズムの開発を目指している。 昨年度は、Viola等が提案した画像中の対象検出法の学習の効率化にPSOを利用する手法について検討し、網羅的な探索と同等の検出性能をもつ検出器を約50倍高速に学習する手法を開発した。本年度は、提案した高速学習アルゴリズムを利用して、弱識別器のバリエーションを増やすことで検出性能を向上させる手法について検討した。Viola等の提案した対象検出法では、隣接矩形特徴を利用しているが、それを非隣接矩形特徴に拡張することで、弱識別器のバリエーションを増やす手法を開発した。また、画像の輝度情報のみでなく、勾配情報も組み合わせることでバリエーションを増やす手法についても検討した。さらに、高次局所自己相関に基づく弱識別器を利用する手法について検討し、従来法に比べて性能が向上することを確認した。 サポートベクターマシン等のカーネル学習法では、訓練データの数が増大すると学習に必要な計算コストが増大するだけでなく、学習した識別器の汎化性能が低下してしまう。この問題に対処するために、全訓練データの中らか学習に有効な訓練データの部分集合を選択し、学習に利用する方法について検討した。具体的には、RANdom SAmple Consensus(RANSAC)を用いて訓練データの部分集合を探索するアルゴリズムを開発した。
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