本研究課題では、集団による最適化手法であるParticle Swarm Optimization(PSO)等の最適化手法に関する研究成果を取り入れて、最適なパターン認識器を自動的に構成するための実用的なアルゴリズムの開発を目指している。 サポートベクターマシンのような2クラスの識別器を利用して多クラスの識別問題を扱う場合、一対一法や一対多法のように複数の2クラス識別器の識別結果を組み合わせて利用することが一般的である。また、誤り訂正出力符号化法では、誤り訂正符号の考え方を取り入れて、2クラスの識別器の出力の一部の誤りを訂正できるように識別器を設計する。しかし、多クラス識別の構成要素として利用可能な2クラス識別器は、これらの手法で用いられているもの以外にも多数存在する。そこで、多クラス識別に利用可能な全ての2クラス識別器の中から識別性能の高い2クラス識別器の組み合わせを探索手法について検討した。クラス数が多くなると2クラス識別器の最適な部分集合を探索するには膨大な時間が必要となるため、遺伝的アルゴリズムを用いて準最適な組み合わせを探索する手法を開発し、従来法よりも識別性能の高い多クラス識別器が構成できることを確認した。 また、一般物体認識のための特徴抽出手法についても検討し、事後確率画像上で相互相関特徴を抽出する手法を提案した。その他、最適な非線形判別分析のベースとなる事後確率の推定に多項ロジットモデルを用いるロジスティック判別分析という新たな手法を提案し、線形の判別分析に比べて性能が飛躍的に向上することを確認した。
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