本研究課題では、集団による最適化手法であるParticle Swarm Optimization (PSO)等の最適化手法に関する研究成果を取り入れて、最適なパターン認識器を自動的に構成するための実用的なアルゴリズムの開発を目指している。 本年度は、動画像中の対象のトラッキングのために有効なペア特徴をランダムサンプリングを利用して選択する手法について検討し、車両・二輪車の計測に適用し、その有効性を確認した。また、パターン認識手法の実応用を目指して、化学物質の発癌性の予測課題に適用し、その成果を論文発表した。さらに、サポートベクターマシンをカスケード接続する手法を猫の顔検出に適用した。その他、究極の非線形判別写像に表れる一般化固有値問題の双対問題を考えることで、判別基準の意味で最適なカーネルについて調べ、事後確率から計算される新たなカーネル(判別カーネル)を導出した。この判別カーネルは、クラスの情報を自然に取り込んだ形で定義されており、パターン識別のためのカーネルとして有効であると期待できる。 本年度は、最終年度であるので、これまでの研究成果をパターン認識器の設計のための最適化の観点からまとめ、招待講演で発表した。また、一般物体認識の認識性能の向上を目指して、元のヒストグラム特徴ベクトルからその要素を組み合わせて新たな複合特徴を構成する手法について検討し、膨大な数の複合特徴の中からランダムサンプリングとL1正則化サポートベクターマシンを組み合わせて有効な特徴を抽出する手法について論文にまとめた。
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