研究課題/領域番号 |
19500164
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
永田 仁史 岩手大学, 工学部, 准教授 (40301030)
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研究分担者 |
安倍 正人 岩手大学, 工学部, 教授 (00159443)
藤岡 豊太 岩手大学, 工学部, 助教 (60292174)
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キーワード | 音源方向推定 / 頭部伝達関数 / 2次元方向推定 / 2チャネル / 重みつきウィナー利得 / ロボット聴覚 / 逐次処理 / 聴覚処理 |
研究概要 |
本研究組織で提案している重み付きウィナー利得に基づいた音源方向推定法において、背景雑音と複数の音源が存在する環境における逐次的な性能改善処理を開発した。受音信号が頭部伝達関数の影響を受けている場合、従来の工学的手法において代表的なMultiple Signal Classification(MUSIC)や最小分散法などの高分解能法は、音源が2個以上の場合に推定精度が非常に低下する。これは、音声信号の時間周波数軸上のスパース性を仮定した成分選択の前処理によってもあまり改善されない。これに対し、提案した逐次処理法は、頭部伝達関数の影響を受けた信号からの複数音源の方向推定性能を飛躍的に改善する。例えば、等パワーの音源が2個あって背景雑音レベルが音源の-10dBであるとし、ランダムに音源方向を設定して方向推定した場合、推定方向の正解率はMUSIC(成分選択処理あり)が25%程度であるのに対し、提案法は90%以上を達成する。人の音源方向同定能力は、音源が数個程度に増えても音源が1個の場合と比べてあまり低下しないとされていることから、本手法は聴覚の性能に近い推定性能を達成できていると考えられる。また、本手法は、逆行列や固有値展開など、神経回路網では処理が難しい計算を含んでいない。従って、本手法による聴覚の方向同定処理モデルとしての妥当性が高まったと言える。
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