研究課題/領域番号 |
19500164
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
永田 仁史 岩手大学, 工学部, 准教授 (40301030)
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研究分担者 |
安倍 正人 岩手大学, 工学部, 教授 (00159443)
藤岡 豊太 岩手大学, 工学部, 助教 (60292174)
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キーワード | 音源方向推定 / 頭部伝達関数 / ロボット聴覚 / 重みつきウイナー利得 / 2次元方向推定 / 2チャネル / 左右差 / 仰角 |
研究概要 |
本研究の目的は、重み付きウイナー利得に基づく音源方向推定法の聴覚処理モデルとしての妥当性を検証することである。本方法は、他の手法ほど深刻ではないものの、頭部伝達関数の影響を受けた受音信号からの複数音源の推定性能に問題があったため、対策のため提案していた逐次処理法について性能評価し、学術雑誌に投稿した。この結果、IEEE Transactions on Audio, Speech and Language Processingの2009年1月号に採録となった。一方、音声に対する聴覚の方向定位精度を検討するため、音像定位を利用してヘッドホンから音を提示する方法と、スピーカからの放射音提示による方法との2つの方法により検討した。ヘッドホンによる方法では、頭部モデルを用いて測定した頭部伝達関数に対し、ヘッドホン特性や外耳道特性等の補正を試みたものの、正中面上の定位に関しては実験に使えるほどの精度が得られなかったため、この方法については取り止めた。一方、スピーカによる方法では、研究室に疑似的な無響室を作成し、被検者による聴取実験を行った。6kHz以下に帯域制限した音声を用いて正中面上の仰角の定位実験を行ったところ、帯域制限しない信号を用いた場合よりは低い精度であったものの、従来、正中面上の仰角の定位キューが8〜10kHz以上の帯域にあるとされているにもかかわらず、仰角の定位が可能であることがわかった。これにより、聴覚が従来から言われているスペクトルキューのみでなく、正中面上の頭部伝達関数における微小な左右差を利用している可能性があることが示唆された。左右差は、重み付きウイナー利得に基づく方向推定において利用している情報であり、従来の相互相関に基づく推定処理ではこの左右差だけでは仰角の分解能がほとんど得られないことから、重み付きウイナー利得に基づく方法の妥当性が高まったといえる。
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