研究概要 |
本課題は,震災などの災害発生時に被災地情報を収集するために,複数の移動体(ロボットなど)により,被災後に自律的かつ適応的にセンサノード(以下ノード)を配置して,センシングとネットワークの機能を保持しつつセンサネットワークを展開するシステムを考え,ノードおよびノード配置手法の開発を行う.このような被災状況に適応的なセンサネットワークにより,被災地情報収集,情報収集時の人的資源の節約および二次災害等による人的被害の軽減,被災者・救助者への情報提供などに利用可能な情報支援システムの構築を目指す. 被災地では,精密な位置決めを要するノード設置や,ロボットや人が立ち入れない場所へのノード配置は困難であるため,本課題では,センシングとネットワーク形成に影響しない誤差範囲内(1〜2m程度)で,ノードを投擲して配置する方法と,卵を産み落とすようにノードを落下させて配置する方法を提案している.これらの配置方法では,配置時の衝撃やノード姿勢などの状態が予測できないため,本年度は,研究計画に従い,耐衝撃性を有し配置姿勢によらず周囲の情報収集が可能な新規なノードの設計・試作を行った.ノードには,情報収集の主となるセンサをカメラとし,配置姿勢によらず死角のない全周映像を取得するため画角190°の超広角小型カメラ2台を搭載した.情報処理能力の高い無線LAN搭載の小型CPUボードをメインコントローラとし,カメラ,GPS,電子コンパス,バッテリを搭載して直径170mmのアクリル球に納めた.また,ノード本体を保護する耐衝撃構造としてバルーン状素材を検討し,2つの塩化ビニール半球でノードを挟み接合して直径約270mmの球形ノードを構成した.無線アドホックネットワークを構築して通信実験を行い,機能を確認した.試作したノードの耐衝撃特性の検証や,被災地へのノード散布手法の詳細検討については,次年度の課題とした.
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