前年度に開発した家庭用ロボットのマルチモーダル命令言語RUNAとRUNAによる命令の解釈システムを予備実験で得られた知見と経験に基づいて改良するとともに、音声、ボタン、ジェスチャを組み合わせて、情報家電の操作、掃除、物体の移動などが命令できるように拡張した。また、汎用ロボットシミュレータ(Webots5)を用いて、家庭用ロボットの行動する仮想環境と行動生成プログラムの開発を行い、仮想環境のロボットをRUNAで命令できるようにした。さらに、ロボットからユーザに音声とジェスチャで分かりやすく情報提示するための仮想ロボットもシミュレータ上で開発し、評価システムに組み込んだ。以上のシステムを用いて、命令言語の利用経験のない様々な年齢のユーザに、留守宅のロボットの操作、掃除、物体の移動を想定したタスクを与え、家庭用ロボットシステムの使いやすさ、命令方法の習得の容易さ、慣れの効果、命令の成功率、音声認識率、失敗例や問題点などを調べた。7月末、11月上旬、1月から3月上旬にかけて、10名から30名程度のユーザについて6種類のユーザ評価を行い、それぞれの結果について考察した。また、19年度の成果を国内学会講演会と国際会議で発表し、雑誌論文一編を公表した。20年度の成果の一部についても、国際会議で発表し、1月末に雑誌論文の一編投稿を行った(3月末時点で条件付き採録可)。ユーザ評価の結果から、評価を行った範囲のユーザにおいて、30分以内の簡単な説明と練習のみで、音声、ボタン、ジェスチャを組み合わせたRUNAによる命令がほぼ正しく理解され、90%以上の成功率が実現されることが確認された。一連の実験で撮影したビデオ、システムによる命令の記録、アンケートなどを整理し、詳細な分析を開始した。
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