研究概要 |
まず,聴覚に関する感性パラメータ法による感性情報について,データの精査を行い発表した。また,香りについては感性パラメータ法とSD法の比較を行った。また,クラスター分析をもちいてグループ分けを行った。その結果,分類の大枠の点で感性パラメータ法とSD法(Semantic Differential method)は近似しているが,微細な点では感性パラメータ法において特徴的な分類が見られた。言葉の知識的な概念に縛られない感性パラメータ法では,直感的な評価をしやすいためにこのような知識を超えた調査では成果を得やすいことが分かった。 感性パラメータ法を用いて,香りと絵画の調査を行い,香りと絵画の関係づけを研究し,標準化の足がかりとした。SD法においては,香りと絵画の評価では,結果が分離してしまい,絵画と香りの感性的な類似性の関係が明らかにならなかった。感性パラメータ法では香りと絵画では,第3因子までで特徴化したところ,従来の香りのみで分類した場合を拡張するような香りと絵画の近似グループが検出された。このことは,感性パラメータ法が広い感性情報に関して利用できることを示唆している。この試験を他の五感要因に拡張していけば,本研究の目的とする標準化が行えることが示唆された。今後,絵画と香り,音楽の間で関連性をまとめていく。 さらに,触覚における感性情報を得るための予備実験として布地の触覚について感性パラメータ法を行った。感性パラメータ法の結果を因子分析し,クラスター法によりグループ化した。手触りによる感性評価の結果では,織物と編み物の違いが明確に分類された。この予備的な実験から,触覚は布地の材質のみならず糸の太さや経年変化も加味されるので,今後,条件を十分に吟味した実験を構築して再実験を行う必要があることが示唆された。
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