平成22年度は本課題の最終年度として全体のまとめとさらなる実用化のための課題検証を行った。 モーション制御の基礎となる姿勢状態のファジィ集合データの拡充をロボカップ3Dシミュレータにより行い、20年度に実現した基礎的な静的動作より複雑で高度な歩行実験を行った。 1)ファジィ集合表現獲得システムの改良として以下の開発および実験を実施した。1-1)実機教示から姿勢情報を獲得するシステムを改良した。1-2)ロボカップ3Dシミュレータを用いて集合獲得するシステムに改良を施しOSC(Observation based States Creator)を構築した。1-3)22次元のファジィ集合をロボットをもちいてユーザに提示するシステムをOSCの機能として実装した。1-4)獲得した集合をもちいたなめらかな歩行行動の制御実験を行った。 2)ヒューマノイド姿勢の多次元ファジィ集合表現の拡大と処理の高速化として以下の研究を行った。2-1)姿勢獲得エディタを用い、人の知識から姿勢の概念表現語を収集した。2-2)対象のもつ幾何構造を保存するファジィ集合生成アルゴリズムを提案し実装および検証した。2-3)演算の高速化を目指しGPGPUによる処理を設計した。 以上の成果により22次元を持つヒューマノイドロボットにおいて獲得した「直立」や「片足立ち」など行動制御に必要な知識をもちい、数理的なモデルによらないあいまいで柔軟な歩行行動が実現した。この結果は、ヒューマノイドロボットに限らず多変数システムの制御において有効であると言える。 本成果は、4編の論文として、人工知能学会、ファジィ学会、情報処理学会で発表を行った。
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